【PSO2】 牙断つもの

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片や、鋭き牙と爪を持つ獰猛なる獣。
対するや、鋼鉄の刃を振るい、牙の名を冠する脳筋な男。

今、その2体が咆哮を上げ、激突する!







或る日、アークス広報より、期間限定賞金首の告知が出た。

今回の賞金首は、最近になって出没するようになった人型モンスター
「ファルス・ヒューナル」。そして、森林地帯に出現するという猛獣、
「ファングバンサー」。双方とも、対象の生死は問わないという。

賞金首、と先に書いたが、実際にメセタが出るわけではない。
グラインダー99個。これがアークスから出される報酬である。



「ったく、金が手に入るワケじゃねえってのによ! 何でこんな獣臭ェ
 クソ犬と斬りあわなきゃならんのだぁ!?」

このところの規制緩和で或る程度安価で流通するようになったとはいえ、
まとまった数のグラインダーを手に入れる機会はそうそうあるワケではない。

自ら使ってよし、寝かせておいて高騰した時に売り払うもよし。
そう判断した彼のボスは、彼に森林地帯への出撃を命じたのであった。



左右から振り下ろされる爪の一撃、或る程度の距離をとってからの飛び掛かり。
相手の突進を跳ね除ける凄まじき咆哮。

食らえばそれなりにダメージを食う。が、あくまで「食らえば」の話である。

攻撃パターンを掴めずにいた序盤に一気に畳み掛けられていれば
絶命も有り得ただろうが、所詮は獣である。攻撃パターンさえ掴めれば
さほどの脅威でもない。


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迂闊に覗かせた腹に鉄の刃を突き入れたその時、獣はその身を痙攣させ、
息絶えた。早速腐食の始まった獣の身体から彼は愛刀を抜き出し、一振りして
穢れた獣の血を払うと、通信機のスイッチを入れた。

「コントロール、こちらブラボー・フォー。対象を討伐した。確認を頼む」
「コントロール了解。確認しますのでしばらくお待ち下さい・・・」

これでいい。あとは展開されるゲートに飛び乗って帰還するだけだ。
ねぐらに戻ったあとの洗浄と洗浄後の一杯、彼の脳裏には最早それしか
なかった。

が、それは飛び込んできた通信によって一気にかき消されることとなる。

「こちらコントロール。ブラボー・フォー、ファングバンシーの討伐を確認
 しました。引き続きミッションの遂行をお願いします」

「あぁ!? コントロール、もう一度言ってくれ。続行だぁ!?」

「はい。続行をおねがいします」

「ふざけんな! 対象はぶち殺したろうが! いいから戻しやがれ!」

「ですから、そちらが討伐されたのは"ファングバンシー"です。我々が
 お願いしているのは"ファングバンサー"の討伐です」

「ちっ・・・同じモンじゃねえのかよ。どうせ似たようなモンなんだから
 そっちで何とか誤魔化せね」

「申し訳ありませんが、全く違う個体ですので。では、ブラボー・フォー
 ミッション続行をお願いします」

「・・・了解、コントロール。通信終わり」

通信機を切った彼は、一つ舌打ちすると、腹立ち紛れに腐敗が進みつつある
ファングバンシーの頭を一つ蹴った。



彼は更に奥地へ進んだ。特に何事も無く、ただただ森の中を進み続けた。 

「さっさと終わらせてェ・・・」

ヒトどもはネイチャーヒーリングとか言って、森をやたらと賛美したがるが、
彼にとって森とは気分のいい場所ではなかった。関節部や電子部品に
ダメージを与える湿気と雨、洗浄が面倒な泥や草、装甲や内部フレームに
こびり付いてなかなか取れぬ獣の臭いと体毛。

「まぁ、アークスが探査させる星なんざ、キャストにとっちゃどの星だって
 良い場所じゃねぇんだがなぁ・・・」

熱帯雨林、灼熱火山、酷暑砂漠、極寒雪原・・・。機械生命体にとっては
どれをとっても喜ばしい環境ではない。無論、その星々にとって適切な
セットアップは突入前に行えるが、なまじ感情を持つ生命体である以上、
その星々が持つ不快さの感受からは逃れようもない。


ようやく最深部へのゲートへと辿り着いた彼は、装備とバックパックの中身、
各部のコンディションを確認して問題が無いことを確認すると、眼前のゲートへと
飛び込んでいった。




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その先に待っていたのは・・・地獄だった。

「初対戦でいきなり寄生体かよ・・・。クソが!」

彼は吐き捨てると、背負った刀を抜き放った。

「さっきの遭遇戦で手間取ったのは、あのクソ獣に飛び回らせるスペースを
 与えちまったからだ・・・。残り10分弱で2体相手なんて馬鹿げたことを
 やっちまうには、奴を飛び回らせない狭い所に閉じ込めるしかねぇ!」

無論、此方も動きにくくなることは承知の上である。だが、広々とした場所を
駆け回るクソ獣を全力疾走で追いかけてスタミナと根気を絶やされるよりは
はるかにマシな選択と言えた。

「動き方は初戦で或る程度把握済みだ! 散々弄ばれた鬱憤晴らしに
 テメェを嬲り殺しにしてやるァ!!」

まず降りてきたファングバンシーの四脚の爪を叩き折り、頭部をグサグサに
潰し、それでも飛び掛かってくるクソ獣に一太刀、また一太刀と入れ、ようやく
奴が倒れるのを確認した時には、既に残り4分半を切っていた。

「残り4分半・・・。間に合うか?」

続いて降りてきた、ファングバンサーを迎え撃つ。

「テメェが・・・諸悪の根源かぁッッ!!」

攻撃については先程のバンシーとあまり変わらないように見える。だが、
今までのタイミングを見計らって迎え撃つ戦い方では、まず制限時間内に
間に合わない。

「・・・迎え撃つだけじゃ駄目だ! 攻めろ! 一気に攻め崩す!」

PAを叩き込んでいては、予備動作も含めて隙が生じる!
常に相手の懐に飛び込み、小さく、細かく、早く! 絶えず攻撃を叩き付ける!

しかし、時は無情に過ぎ、遂にカウントダウンに入った。

「畜生、駄目か! クソッタレ! ここまできて諦め切れるかよ!」

彼の攻めは更に加速する。関節部が悲鳴をあげ、機関部が火花を、
煙を吹き上げる。ディスプレイに映るコンディションゲージが徐々に赤く
染まっていくが、そんなことを気に留めている暇は無い!

残り時間、5秒、4秒、3秒、2秒、1秒・・・。


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遂にバンサーは倒れた。


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それと同時に、彼も崩れ落ちた。



数分後、愛刀を支えにして立ち上がった彼は、通信機のスイッチを入れた。

「コントロール、こちらブラボー・フォー・・・。今度こそ対象を討伐した
 確認を頼む・・・」
「こちらコントロール。そちらの対象討伐を確認しました。お疲れ様でした、
 ブラボー・フォー。ゲートを開きますので、帰還して下さい」
「こちら、ブラボーフォー。了解した。これより帰還する。通信終わり」

ノイズの混じったディスプレイ越しに、目の前でゲートが展開されるのが
見えた。彼は愛刀を杖代わりに、ゲートへ向かって弱々しく歩を刻み始めた。

コンディションゲージはほとんど全てが真っ赤の状態だった。
洗浄どころか、オーバーホールが必要になりそうな状況である。

「ちっ、仕事の後の一杯はお預けかよ・・・。ったく、何て日だ、クソッタレ・・・」

彼の弱々しい歩みは、続く。



というワケで、久々のPSO2ネタでありました。

それでは、また次回。
by DunkelFang_PZ00 | 2013-01-14 02:01 | オラクル徘徊記(PSO2) | Comments(0)


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